8月27日(土)、第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会の1回戦が行われ、鈴鹿アンリミテッドFC(以下、鈴鹿)は名古屋市港サッカー場で東海学園大学に延長戦の末2-1で勝利し、2回戦へと駒を進めた。
スタメンはGK岡田、DF野口、藤田、原、藤井、MF大村、渋谷、堀河、泉、FW北野、柿本。三重県予選決勝と同様に、小澤はベンチからのスタートとなった。
勝てばJ1のヴィッセル神戸と対戦できることもあり、是が非でも勝利したい鈴鹿。しかし、対戦相手の東海学園大学は練習試合でもなぜか勝てない、相性のあまり良くない相手といえた。
前半をベンチから眺めていた小澤は「最近の試合では失点する時間帯が早く、試合を支配するのに時間がかかってることが課題」と振り返るが、この試合でもその悪癖が出てしまう。開始わずか7分、左サイドからのクロスは野口が頭で跳ね返したが、こぼれ球をペナルティーエリア中央で拾われると、武田(14番)が鋭い反転からシュートを放つ。上体の揺さぶりに鈴鹿守備陣が翻弄され、一瞬反応が遅れたGK岡田も懸命に手を伸ばすが及ばず。大事なトーナメントの初戦で、立ち上がりにゴールを許してしまった。
「この試合でも早い時間に失点し、自分たちが苦しくなる展開にしてしまった」と主将の北野は振り返ったが、負ければ終わりのトーナメントでの先制点は、同じ1点でもリーグ戦以上に重く圧し掛かってくる。
その影響を考慮してか、小澤監督は前半から早くも動く。37分、渋谷に代えて小澤を投入する。前半から選手を入れ替えるのは異例だ。それほどまでに、前半の鈴鹿はやりたいサッカーができていなかったということだろう。
後半、鈴鹿の攻撃に変化が生まれる。前半はボールを回しながらもバイタルエリアを上手く使えていなかったが、そこに小澤が顔を出すようになったことで、鈴鹿がようやくバイタルエリアに侵入できるようになり、ここにボールが集まることで、今度はサイドが空いてくる。小澤の動きとプレーが、鈴鹿の攻撃の幅を広げていく。
名古屋まで駆けつけた鈴鹿サポーターにとって待ちに待った瞬間が訪れたのは70分。PA手前右でボールを受けた北野が、45度も角度がない位置から右足を豪快に振り抜く。強烈なシュートが逆サイドネットに突き刺さり、攻勢の鈴鹿が同点に追いついた。
追いついた鈴鹿が勢いに乗り、小西を投入して逆転ゴールを狙うが、東海学園大も鈴鹿の攻撃をしのぎつつカウンターから虎視眈々とゴールを狙う。結局、90分間で決勝点は生まれず、勝負は延長戦へともつれ込む。
すると延長戦前半、試合が動く。5分、小澤がゴール前に入れたロングパスを小西が競り合うと、競り合ったDFの頭に当たったボールがそのままゴールへ。やや幸運な形ではあるが、鈴鹿が逆転に成功する。
こうなると、取り返したい東海学園大が攻勢を強めるが、鈴鹿も小澤、堀河を中心に落ち着いたパスワークでこれを牽制。終盤は東海学園大がガンガン仕掛けて鈴鹿もピンチの場面が増えるものの、村田が入って引き締まった鈴鹿の守備陣は失点を許さず。逃げきった鈴鹿がヴィッセル神戸の待つ2回戦へと進出。2回戦は9月7日(水)に神戸ユニバー記念競技場にて行われる。